雰囲気を工学的に扱う研究を行っています.特に集団がつくり出す雰囲気と,それを個人がどのように感じるのかに焦点を当て,集団の構成要素が個々にどのような振る舞いを行うと全体の雰囲気がどのように変化するかといったことを調査しています.
下の写真は,単純な図形で集団を表現し,この振る舞いを調整することで人間が感じる雰囲気を制御する集団相槌エージェントの例です.話しかけると頷いてくれますが,その頷き方に変化をつけることで異なる雰囲気を作り出します. 農園を観測するための装置を開発しています.様々な観測装置が開発されていますが,高精細,高解像度,低ノイズ,Webビューアなどに力を入れています.観測データが充実することで,昨年の栽培状況と比較したり,管理タイミングの意思決定,病害虫の特定や経過調査など可能になります.特に,データの活用については生産者の負担軽減につながる方法を中心に研究を行っています.
下の写真はソーラー電源,携帯電話回線,クラウドを使用して農園に置くだけで,比較的簡単にデータが蓄積できるアグリサーバです. 私達の身の回りには様々な家電製品のリモコンがあります.しかし,使用する時に手元を注視して目的のボタンを探さなくてはならず,細かい指先の動作が伴います.また,手元と離れた機器との間で頻繁に視線を移動する必要があります. これらは些細な問題で,慣れてしまえばよいだけかもしれません.しかし,この研究では「慣れること」を押し付けた形の設計を問題として扱い,細かな操作を必要とせず,手元を注視しなくても使用できる家電リモコンを開発しました. あえてペットのように扱えるリモコンの外見を採用して,ひざの上に置いたまま,なでることで操作行います.異なるチャンネルの映像がチラ見できたり,ちょっと指を動かした場合にはちょっとした変化が,大きく指を動かした場合には大きな変化が画面に生じるように設計しています.そのため,ボタンを探す必要がなく,画面を見ながら適当になでるだけで思い通りの操作を行うことができます. 農作物の生育状態の微細な違いを比較するための画像ビューアを開発しました.この画像ビューアでは,複数画像を同時に表示でき,各画像間でズーム倍率と表示位置,ウィンドウサイズを同期させることで,異なる時期の作物の画像を簡単に比較することができます. たとえば,ある画像を拡大縮小したとき,他の画像も同じ構図に変化するので,細部の違いを比較することが容易になります. この研究では,一眼レフカメラを自動制御する装置を開発し,リンゴ農園やブドウ農園で運用して高解像度画像な定点観測画像を取得し,各生育段階での状態比較を行っています. 長野県上高井郡小布施町において,アグリサーバやフィールドサーバというほ場観測装置を利用したICT農業に関する取り組みを行っています.ほ場から食卓まで( Field to Fork )を合言葉に,安全で信頼できる農産物の生産や供給に関する情報,農業と工業,商業,観光業との結びつきなどについて,様々なテーマに挑戦しています. 小布施町農業情報研究グループのページ マニュアルフリーマシンとは,説明書(マニュアル)を読まなくても(フリー)使える機械(マシン)のことです. なんとなく触って動作を確かめたり,直観的な判断で正しい操作ができてしまう方法を研究しています. たとえば,上側の写真のように犬のような形をしたロボットであれば頭をなでたときの動きで,その後の動きを人間が想像しやすいものに設計します.また,下側の写真のように机の上を掃除するロボットであれば,掃除の仕方を人間の動きに応じて変化させることで,ちょっと試しただけで使い方が理解できてしまう機械の設計をめざしています. 多くの家電製品はユーザに状態を知らせる方法として,音や光,文字などを用いていますが,ロボットの状態を知らせる場合にも同じ方法が通用するでしょうか. この研究では,音や光に加えて,ロボットの特徴である身体を活用したモーション(動き)を用いた状態(気持ち)の通知方法を検討しました. 左の写真のように,小型掃除ロボットを使用して「障害物が邪魔である」という状態を表現させたところ,ブザー音やLEDライトの点滅と比較して,モーションによる表現が最もユーザを協力を引き出すことが分かりました. |